「暮らしのゆったりした時間の流れのなかで感じられるしあわせが,目立たない,さりげない,地味な場面にふさわしい心身のさまであることは疑いを容れない。」(『幸福とは何か ソクラテスからアラン,ラッセルまで』,長谷川宏,中央公論新社)
◯幸せであるというのは,誰もが羨むような成功を手に入れることではなく,普通の日常生活に生きる喜びや幸せを感じられるようになるということなのではないでしょうか。大きな成功を手に入れることができるのはごく少数の人間だけですし,そもそも成功を手に入れたからといって幸せな人生を送れるという保証はありません。他方,日常生活に生きる喜びや幸せを感じるということは,心の持ち方次第で誰にでも可能なことですし,平凡な日常生活に生きる喜びや幸せを感じられるということは,生きていることそれ自体に喜びや幸せを感じられるということであり,生きる喜びに満ちた幸せな人生が約束されたようなものです。成功を手に入れようとあくせくするのではなく,いま自分の目の前にある幸せ(日常生活に隠されている無限の幸せ)を見逃すことがないよう,常に心静かにゆったりとした心持ちでいたいものです。(2020年7月20日)(1)(7)(8)関連