「自分の努力以外の何かに救いや幸福を見出そうと思うことほど,人間の力を弱めるものはない。」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯自分は不幸であると思い込んでいる人間は,その原因や責任を他者や運命に求めがちです。そして,他者を恨んでは他者を責め立てたり,運命を呪っては不運を嘆き悲しんだりします。しかし,他者や運命を自分の思い通りにすることなど誰にもできないわけですから,どんなに他者を責め立てたり不運を嘆き悲しんだところで,状況を好転させることはできません。むしろ,恨みつらみの感情をこじらせたり,無力感や不遇感を募らせたりするだけの結果になってしまいがちです。状況を好転させ,ひいては,自分は不幸であるという思い込みから目を覚ますためには,自分が不幸であることの原因や責任は自分にある(自分にもある)と考え直し,自分の考え方や生き方を変えることにこそ,すなわち,他者任せ,運命任せにするのではなく,自分の人生を自分の力で切り開いていくことにこそ大切な時間やエネルギーを費やす必要があるのではないでしょうか。(2020年7月18日)(3)(4)(6)(15)関連