「人々が真理に同意しないのは,何よりも彼らがその真理の提示される形式に侮辱を感じた場合が多い。」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯簡単明瞭なものは軽んじられやすく,真理もその簡単明瞭さゆえに軽んじられやすく,なかなか同意の得られにくいものですが,自分の生き方や自分の考え方を強く否定される形で真理が提示された場合には,同意する気持ちはますますなくなってしまいます。真理というものは,機が熟し,それを受け入れる心の準備が整うまでは,納得し,得心することの難しいものなのかもしれませんが,それを提示する際には,少なくとも,相手を見下し,その生き方や考え方を小馬鹿にしつつ,断定的に行うのではなく,相手を尊重し,その生き方や考え方に敬意を払いつつ,控えめに行うことが望ましいのではないでしょうか。(2020年7月3日)(前書き)(17)関連