「低刺激環境に人間を長く置いておくと,センサーが敏感になるんですね。(内田)」(『身体で考える。』,内田樹・成瀬雅春,マキノ出版)
◯簡素で無欲な生活に慣れると,幸せを感じ取る感度が鋭くなり,ささいな事柄にも幸せを感じられるようになります。他方,贅沢で貪欲な生活に慣れてしまうと,幸せを感じ取る感度が鈍くなり,ちょっとやそっとの事柄では幸せを感じられなくなってしまいます。簡素な生活は,それを他者に強制された場合には,ただの貧しく惨めな生活ですが,小欲知足を心がけ,自分の自由意志に基づいて選択した場合には,とても心豊かな生活になり得るのではないでしょうか。日常生活におけるささいな事柄に幸せを感じられるようになること,ひいては,生きていることそれ自体に幸せを感じられるようになることこそが,人間が幸せであり続けるための秘訣なのですから。(2020年5月28日)