「知識には際限がない。それゆえ,非常に多くを知る人の,非常に少ししか知らない人に対する優越性も,無限に小さい。」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯私たちは,自分はなんでも知っていると思いがちですが,実際に知っていることなど高が知れています。知識には際限がなく,それに比べれば私たちが知っていることなど微々たるものであり,また,多くを知る人間と少ししか知らない人間の差も,団栗(どんぐり)の背比べであるに過ぎません。より良い人生を送りたいと願うのであれば,自分が無知であることを常に自覚しつつも,できる限り多くの知識を頭に詰め込むことにではなく,少しでもよいので,自分が生きていく上において本当に必要と思われる知識をしっかり身に付けることにこそ力点を置くべきなのではないでしょうか。(2020年5月15日)