「欲(よく)に離れてにぎやかな家(『武玉川』の句)」(「その場その場の絵」(『文藝春秋 新幸福論 本当の幸せとは?』所収),田辺聖子,文藝春秋)
◯欲の無い(少ない)家庭では,たとえ経済的には貧しくても家族が仲良く満ち足りた気持ちで楽しそうに生活しているイメージがあります。他方,強欲な家庭では,たとえ経済的には豊かであったとしても家族がそれぞれ勝手に満ち足りない気持ちを抱えながらつまらなそうに生活しているイメージがあります。これらはただのイメージですが,欲張れば欲張るほど,その人間は欲望を満たすことが困難になり,常に不平不満を抱えながら,他者に対しても不機嫌な態度で接するようになってしまう,というのはありがちな話です。常に満ちたりた気持ちで機嫌よく生活することを願うのであれば,強い意志を持って無欲・小欲に近い生き方を心がける必要があるのではないでしょうか。(2020年5月10日)