「どこにおっても,何をしておっても,自分がわるい事をしておらねば,みんなたすけてくれるもんじゃ。日ぐれに一人で山道をもどって来ると,たいてい山の神様がまもってついて来てくれるものじゃ。」(『忘れられた日本人』,宮本常一,岩波書店)
◯数知れぬ他者の支えがなければ,私たちは生きていくことができません。この事実を正しく認識し,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さや他者に対する感謝の気持ちを忘れることなく,自分がどのような境遇に置かれても,自分の幸せのみならず他者の幸せをも願い,常に他者と仲良く助け合って生きることができるなら,私たちが孤立無援状態に陥ることはありえないのではないでしょうか。感謝する気持ちを忘れ,他者と敵対して他者の幸せを妬み,他者と張り合い,他者を蹴落とすことばかりに血道を上げるようになってしまうからこそ,私たちは孤立無援状態に陥ってしまうのだと思います。(2020年4月14日)