「ここで,釈尊は,「人生は苦である」ということを断定していますが,「苦」というのは,「思いどおりにならないこと」という意味です。」(『原始仏典』,中村元,筑摩書房)
◯人生とは,そもそもままならないものであり,ままならないのが人生であるとさえ言えます。そのことを正しく認識することさえできれば,不平不満などの生じようがありません。私たちは,この過度に豊かで便利な生活を当たり前と思い,思い上がった末に人生は自分の思い通りになるはずであると勘違いするからこそ不平不満などを生じさせ,自分は不幸であると錯覚するようになってしまうのではないでしょうか。幸せであるためには自分が幸せであることに気づく必要がありますが,そのためにまずは,自分が今ここでこうして生きていられることの有り難さ(まさに奇跡)をしみじみ思い出すとともに,人生がままらないものであるということを謙虚に受け入れられるようになる必要があるのではないでしょうか。(2020年3月22日)