「自己犠牲的と称されている母親は,大多数の場合,わが子に対して異常に利己的である。」(『ラッセル 幸福論』,安藤貞雄訳,岩波書店)
◯私たちは,自分が幸せであるからこそ,他者の幸せを願い,喜び,自分の幸せを他者と分かち合うことができるのである。他者(子供)の幸せを本当に願うのであれば,まずは自分(親)が幸せである必要があり,他者の幸せのために自分の幸せを犠牲にすべきではない。自己犠牲的な行動は,強い利己心の裏返しである場合が多いし(実際,自己犠牲的な行動を取る人間は,無意識的に大きな見返りを求めている場合が多い。),親の幸せを犠牲にしてまで幸せになりたいと思う子供はいないのではないだろうか(幸せになったところで心の底から喜べないのではないだろうか。)。そもそも幸せに定員などなく,本人の心持ち次第で誰もが幸せになれるのであって,誰かが幸せになるために他の誰かが犠牲になる必要などまったくないのである。(2020年3月17日)