「情け深い人は金持にならないし,金持は情け深くはない。(満州の諺)」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯財産に執着すれば,財産を手に入れるために他者と競い合う必要が生じ,他者を敵と見なさざるを得なくなってしまう。他者と敵対しながら,他者と仲良く助け合い,幸せを分かち合って生きることは難しい。そもそも,財産を手に入れないと幸せになれないと勘違いするからこそ財産に対する執着が生じるのであろうが,実際には,財産に執着することで,足るを知り,自足することが難しくなり,幸せになることはかえって困難になってしまう。他者と仲良く助け合って生きることや,幸せであることを本気で願うのであれば,財産に対する執着を捨て,拝金主義から卒業する必要があるのではないだろうか。(2020年3月15日)