「善良な人はあまり議論好きでないし,議論好きな人はあまり善良ではない。(『老子』)」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯善良な人間は,足るを知り,自足しているため,大きな声を出して他者に何かを訴えるようなことはほとんどない。大きな声を出して他者に何かを訴えるのは,たいていの場合,足るを知らないために,不平不満や被害感を募らせたり,恨みつらみの感情をこじらせたりしている人間である。善良な人間は,そのような人間に対しても友好的な態度で接し,相手がより善良な人間になるための支援や協力は惜しまないが,人生の指針が明確に定まっているため,付和雷同して道を誤ったり,道を踏み外したりすることはないし,そのような人間と徒党を組んで大切な時間やエネルギーを浪費しようとも思わない。(2020年3月10日)