「無益な知識をうんと蓄(た)め込むよりも,少しでもいいから人生の掟(おきて)を学ぶほうが大事である。人生の掟は汝を悪より防ぎ,善へと導くであろう。その反対に無益な知識は,いたずらに汝を傲慢の罪に誘い,真に汝に必要な人生の掟を明らかに悟ることを妨げるであろう。」(『文読む月日(上)』,トルストイ,北御門二郎訳,筑摩書房)
◯人間はいかに生きるべきなのか。まずは,そのことを真剣に考え,学ぶ必要があるのではないだろうか。人生の指針が明確になってこそ,自分が進むべき道も明らかになり,謙虚に努力し続けることも可能になるのだから。核になるものがなければ,知識は単なる知識にとどまり,それを自慢げにひけらかすことはできても,人生に役立つ知恵として体得されることはあり得ないのではないだろうか。(2020年2月6日)