「まず好きでなければ,何事も始まらぬ。そして結局,好きなればこそ出来た苦労や我慢や勉強が一番物を云う。」(「尾沢良三「女形今昔譚」序」(『小林秀雄全作品 14』所収),新潮社)
◯好きなことだからこそ,苦労や我慢に耐えられるのであり,苦労や我慢に耐え,長く励み努めたことだからこそ,人生の役に立つのである。自分が本当に好きと思えることに出会い,そこに自分が信じることのできる理想を見いだし,その理想に一歩でも近づくための努力を心から楽しいと感じられること。人間が成長し,成熟するための原動力は,これ以外にあるのだろうか。(2020年1月8日)