「不平は,内には私語,外には徒党となって現われるほかはない。それはしばしば,徒党によって怨望の対象への批判という形になって現われる。それ以外に「心の空洞」を満たすものがないから当然であろう。」(『小林秀雄の流儀』,山本七平,文藝春秋)
◯不幸な人は幸せそうな人を妬みやすく,自分と同じような不平不満を抱えた人たちと徒党を組み,幸せそうな人を批判し,見下すことによって鬱憤を晴らし,内面の満たされなさを紛らわせようとしがちである。しかし,幸せそうな人を批判し,見下したところで,そのことによって自分が幸せになれるわけではない。そのような不毛な人生を送り続けることに,いったいどのような意味があるのであろうか。たった一度きりの人生である。他者を批判し,見下すことにではなく,自分を幸せにすることにこそ,また,自分の幸せを他者と分かち合うことにこそ全力を注ぎたい。(2019年12月29日)