「無常こそ世の常である。これがもし人間に永遠の命が与えられていたとしたらどれほどつまらぬことであろう。世の中は先がわからないからこそ面白い。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
◯命のはかなさや世の中の無常を嘆く必要がどこにあるのだろうか。はかない命であるからこそ,今ここでこうして生きていられることに有り難さを感じるのである。無常な世の中であるからこそ,今この瞬間が大切なものに感じられるのである。幸せであることは,はかない命しか与えられていない,無常な世の中に暮らす人間に与えられた特権であり,この特権を大いに生かすことこそが望ましい。(2019年7月15日)