「四季にはまだ春夏秋冬という順序があるが,死期にはそれがない。死は前からくるものとばかり思っていると,すでに背後に肉迫している。人はみないつか自分も死ぬということはわかっている。けれども,まだしばらくの余裕はあるだろうと思っている。だが,死はいきなり来るのである。沖はるかに干潟が見えているのに,ふと気づくと足元の磯(いそ)に潮が満ちているようなものである。」(『徒然草(日本文学全集07所収)』,内田樹訳,河出書房新社)
◯人間はいつか必ず死ぬ,ということを,頭で理解するのではなく,切迫感を持った実感として理解すること。今ここでこうして生きていられることの有り難さに感謝するためにも。(2019年7月10日)