「女性の更年期症状といわれるものは,たしかに内分泌系のバランスがくずれるためにひきおこされるものではあるが,そのきわめて多くの部分は生きがいの喪失という危機によるものと思われる。自分にはこれからなんの生きるよろこびがあるだろう,なんの値打(ねうち)が,と問う彼女らの暗たんとしたまなざしには,青年たちのそれとはまたちがう切実さがよみとられるのである。」(『生きがいについて 神谷美恵子コレクション』,みすず書房)
◯生きているということは,ただそれだけで値打ちのあることであり,喜ぶべきことである。女性に限らず,すべての人間は,中年・老年の危機を乗り越えるためにも,また,真の自立を成し遂げるためにも,ある段階でそのことに気づく必要がある。(2019年6月27日)